理学療法士という仕事をご存じでしょうか?
職業ランキングでも上位に挙がるようになってきており、少しずつ理学療法士の知名度も高まっています。
しかし、理学療法士は怪我や病気を治す人、リハビリの先生というイメージが浸透しているかと思いますが、実際にどんな仕事をしているのか、はっきりと分かる人は少ないのではないでしょうか。ここでは、理学療法士の仕事内容を紹介していきます。
目次
理学療法とは
理学療法とは、病気や怪我、高齢などによって運動機能が低下した状態にある人に対して、運動機能の維持・改善を目的に、その方に合った体操やマッサージ、電気や温熱、光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。
法律では「身体に障害があるものに対し、主としてその基本動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行わせ、及び電気刺激、マッサージ、温熱その他の物理的手段を加えること」とされています。
理学療法士は実際にどんな治療をするのだろう
理学療法士は、医師の指示のもと、病気や怪我、スポーツなど様々な理由で、基本動作が行いにくくなった人や、身体機能が低下した方などを対象に治療を行います。
基本動作とは、日常的に行っている動作のことです。寝返り、起き上がり、座位、立ち上がりなどからなる起居動作と、車椅子や便器への移乗動作、歩行や車椅子駆動などの移動動作のことを指します。
理学療法士は、対象者が何に困っているのか、なぜ生活が困難になっているか、なぜその動作ができないのかをまずは評価します。評価するのは、関節や筋力などの身体機能や、記憶力などの認知機能、基本動作など多岐に渡ります。問題となる動作や機能を探し出し、その問題点に対して、運動療法や、物理療法を行います。
では実際に、運動療法や物理療法がどのような治療なのか説明していきます。
◆運動療法
運動療法は、身体を動かして、低下した身体機能の回復を促すことです。関節の動きを改善する練習や、筋力トレーニングなどが運動療法に当たります。
また、基本動作の練習を行うことや、体力を高めること、運動を使って心臓や肺などの機能改善を図ることも、運動療法です。
理学療法士は、対象となる方の怪我や病気の状態、筋肉や関節、呼吸などの全身の状態を評価し、一人ひとりにあった運動の方法や回数を設定します。
また、動作方法を考え指導します。一人ひとりに合った運動療法を考えているのです。
◆物理療法
物理療法は、温熱や寒冷、電気、水などの物理的な手段を使う治療法です。温熱や寒冷を使って痛みを和らげたり、電気を使って筋肉や神経を刺激し筋力増強を促進したり、痛みを和らげたりします。
また、水の浮力や抵抗を使い、関節の動きの改善を図ることや、体力や筋力の改善を図ることも物理療法のひとつです。
治療後は、問題点が改善したのか?していないのか?を評価し、結果によって問題点を再考し、その問題点にアプローチすることを繰り返します。理学療法士は対象者がその人らしい生活を送れるまでサポートを行っています。
理学療法とリハビリテーション
理学療法について説明してきましたが、ここではリハビリテーションについて触れたいと思います。はじめに、理学療法とリハビリテーション・リハビリという言葉を、同じような意味で使っている人はいませんか?
理学療法は治療法。リハビリテーションは考え方のことです。
リハビリテーションは、障害がある人が一人の人間として、障害に関わらず、人間らしく生きることができるようにするための、技術や社会的政策などの総合体系のことを指します。
「障害に関わらず自分らしく生きていくことを支援すること」と言えるでしょう。
リハビリテーションは、医学リハビリテーション・職業リハビリテーション・社会リハビリテーション・教育リハビリテーション・リハビリテーション工学に分かれています。この中の、主に医学的リハビリテーションで理学療法が行われます。
つまり理学療法士は、基本動作や体の機能の治療を行い、その人らしく生活していくことをサポートすることが仕事となります。対象者がどのように生活したいのか、何を大切しているのかなど、その人らしさを知り、それを踏まえた上で治療を行うことを理学療法士は大切にしています。
まとめ
理学療法士の仕事は、運動や物理的な刺激を使いながら、その人らしく生活するためのサポートをする仕事です。
一方で、心身の機能のことや、理学療法の評価法、病気や怪我についての知識など、学ぶことは多くあります。養成校の卒業後も勉強が続く大変なお仕事です。
しかし、直接その人に触れて治療し、その人らしさを取り戻していく過程を間近で体感できる仕事は他にはなかなかないでしょう。身体の機能だけではなくその人らしさを取り戻すことを一番近くで体感できる理学療法士という仕事を、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。