国家資格とは、国が認めた資格のことです。有資格者は、知識や技術が一定の水準に達していることを国から認定されており、職業的な地位が保証され、社会的にも信用が高いとされています。理学療法士も国家資格の一つです。どのような資格なのか、国家試験についても併せて説明していきます。
目次
理学療法士の国家資格とは
理学療法士は国から認められた国家資格です。
国家試験に合格し厚生労働大臣の免許を受けることで、理学療法士の名前を使用し、理学療法を行うことができます。国家資格がないと、理学療法を行うことができません。
また、理学療法士は、医師の指示のもとで理学療法を行わなければなりません。医業は医師でなければ行うことができず(医師法)、理学療法士は診療の補助行為として、理学療法を行うことが許されています。
他にも、秘密を守る義務や国家試験の詳細について理学療法士及び作業療法士法に明記されています。
国家資格取得までの流れ
理学療法士になるためには、毎年一度行われている国家試験に合格しなければなりません。
また、国家試験の受験資格を得るためには、養成校を卒業する必要があります。まず高校卒業後(社会人や大卒者など高等学校卒業程度合格者を含む)、文部科学大臣が指定した学校や養成校に入学します。そこで、3年以上理学療法士として必要な知識・技能を学び、必要な単位を修めなくてはいけません。
学ぶ知識は、理学療法で使う評価方法や治療法、人体の構造などの身体の知識、医学、薬学、栄養など様々です。
また、カリキュラムが進むと、実際の診療場面で患者の協力を得ながら理学療法を学ぶ実習が行われます。単位の修得または習得が見込まれると、毎年2月に実施される理学療法士国家試験を受験することができます。
どんな養成校を選べばいいの?
養成校は全国で250校以上あり、それぞれの養成校に特色があります。阪奈中央リハビリテーション専門学校では、通常学生同士で行われる実技練習が、患者会の協力を得て、実践的に練習ができる環境が整っています。
また、系列の阪奈中央病院は国内有数のスポーツ医療機関であり、在学中から最先端のスポーツ医療現場と関わることができます。
合格率や通学なども重要ですが、自分が興味のある分野や、なりたい理学療法士像をイメージしながら、自分に合った養成校を選ぶと良いかと思います。
理学療法士国家試験の合格率
昨年の理学療法士国家試験の受験者数と合格率は以下の通りです。
<第55回試験※2020年>
受験者数12283人(新卒者のみ10749人)合格者10608人(新卒者のみ10019人)合格率86.4%(新卒者のみ93.2%)
第55回理学療法士国家試験は一般問題(1問1点、157点満点)と実地問題(1問3点、120点満点)の構成でした。合格基準は、総得点167点以上、実地問題43点以上でした。
理学療法士国家試験の受験者は10年ほど前までは増加傾向でしたが、直近では受験者数約12000人、合格者は約10000人前後で推移しているようです。全体の合格率は、直近では70%後半から90%前半ですが、新卒者の合格率は毎年90%を超えており、養成校でしっかり勉強をすれば、合格できる資格だと思われます。
過去5年間の、受験者数と合格率は以下の通りです。
受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) | ||
2020 | 第55回 | 12283 | 10608 | 86.4 |
2019 | 第54回 | 12605 | 10809 | 85.5 |
2018 | 第53回 | 12148 | 9885 | 81.4 |
2017 | 第52回 | 13719 | 12388 | 90.3 |
2016 | 第51回 | 12515 | 9272 | 74.1 |
試験方法と出題科目
試験はマークシート方式で行われます。五肢択一、もしくは五肢択二です。 試験問題は一般問題と実地問題の2種類に分かれています。一般問題は160問、実地問題は40問、計200問です。午前と午後に100問ずつを2時間40分かけて解答します。実地問題とは、一般問題と異なり、症例や事例を挙げ、ひとつの症例で小問2つのセットで出題される問題です。
出題科目は以下のようになっています。
・一般問題
解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)、理学療法
・実地問題
運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要(人間発学を含む)、理学療法
合格となる正答率は、全体の約6割程度です。
しかし、実地問題で3割程度の点を獲得しなければ、全体で6割以上を超えていても合格にならないため、バランスよく解答しなくてはいけません。
問題数も多く、集中力を要する試験です。試験対策では、幅広い問題範囲を勉強するだけではなく、問題の解き方やペース配分なども対策を立てると良いでしょう。
まとめ
理学療法士は国家資格であり、社会的にも信用が高い職業になります。
一方で、理学療法士になるには、3年以上の理学療法についての勉強と、国家試験で幅広い知識と技術を問われます。たくさんの知識と技術を身に着け、難しい国家試験を乗り越えるからこそ、理学療法士としての信頼を得て、お仕事を行えるのだと思います。
今後も高齢化が進み、理学療法士の需要は増えるかと思います。ぜひ、理学療法士への道を検討してみてはかがでしょうか。