作業療法士の仕事のひとつに、発達障害をもつ子どものサポート・治療があります。将来作業療法士を目指すなら、発達障害をもつ子どもたちに対してどのようなサポート・治療を行うのかを知っておくことも重要です。
これから作業療法士を目指す方は、こちらを参考に仕事のイメージをつけてみてください。
目次
- 作業療法士が行う子どもの発達障害に対するサポート・治療
1.日常生活動作などの発達サポート
2.感覚面でのサポート
3.認知・学習面でのサポート
4.社会生活におけるサポート
5.周囲のサポートも作業療法士の仕事
6.子どもそれぞれに合わせた支援を行う必要がある - 作業療法士の仕事内容について
1.発達障害領域
2.身体障害領域
3.精神障害領域
4.老年期障害領域 - まとめ
作業療法士が行う子どもの発達障害に対するサポート・治療
発達障害のある子どもに対して、作業療法士は様々な支援を行います。どのような作業療法が行われているのかを、以下で解説します。
日常生活動作などの発達サポート
発達障害のある子どもに対して、作業療法士は日常生活動作、遊び、運動、学習、社会生活技能などの発達を促します。
乳児期であればハイハイ、歩行、物をつかむなどの運動、幼児期であれば食事や着替えなど、身の回りの動作の練習などを行います。
子どもが楽しく取り組めるように、遊びを用いることが多いです。 ボール、積み木、ままごとなど、子どもの興味を引く様々な遊びの中で、自身の身体や道具の使い方などを学びます。
感覚面でのサポート
子どもたちは、揺れる、触る、回る、見るなど様々な感覚を十分に経験することが必要です。そのことで複数の感覚が統合され、環境に合わせて自身の体をスムーズに動かしたり、落ち着いて課題に取り組んだりできるようになり、学習の基礎にもなっています。
作業療法士は、ブランコ、滑り台、砂、粘土、など様々な遊びの中で、子ども自身が楽しみながら色々な感覚を調整できるように促します。
認知・学習面でのサポート
子どもの認知や学習面におけるサポートを、作業療法士は行います。習字、ハサミや糊を使っての工作、お絵描きなど、子どもが楽しめる要素を取り入れながら学習を行うのがポイントです。
また、ゲームなど集団での遊びを通じ、コミュニケーション能力を高め、友達とスムーズに関われるようにサポートすることもあります。
社会生活におけるサポート
子どもの社会生活をサポートすることも、作業療法士の重要な仕事です。学習環境や道具の調整などによって、子どもが課題に取り組みやすくなる援助を考えて提案します。 保育園や学校など集団への参加が難しい子どもに対しては、その原因を追求して支援方法を考えます。
周囲のサポートも作業療法士の仕事
作業療法士は、発達障害の子ども本人だけでなく、家庭、保育園、学校などで子どもを支援する人たちの相談に乗ることも仕事になります。 発達障害に対する正しい理解を促し、子どもとの関わり方をアドバイスすることも多いです。
子どもそれぞれに合わせた支援を行う必要がある
作業療法士が行う発達障害のある子どもへの援助は、それぞれの子どもの特性や環境に合わせて行うことがポイントです。
発達障害によってもたらされる症状はそれぞれ異なり、子どもの性格や好みも千差万別です。作業療法士はそういった子どもごとの特性をきちんと見極めて、一人一人に合った支援を行う必要があります。
発達障害のある子どもの援助を行う際には、子ども本人や保護者との面談や観察からアセスメントを行い、得られた情報から問題の原因や支援方法を考案します。
そして子ども本人へのサポートや環境の調整などを行い、その結果をふまえて必要に応じて支援の方法を変えたり改善を行ったりしていきます。 発達障害のある子どもの支援を行うときには、本人や保護者の気持ちに寄り添い、それぞれのケースに合わせた支援方法を提案するのが作業療法士の仕事です。
作業療法士の仕事内容について
作業療法士の仕事内容は、いくつかの領域に分かれています。就職先によってメインとなる仕事内容は変わってきます。
以下で領域ごとの作業療法士の基本的な仕事内容を紹介します。
発達障害領域
冒頭でも紹介した通り、発達障害領域で働く作業療法士は子どもたちの心身の発達を促す援助をします。運動、遊び、日常生活動作、学習、社会生活などでつまずきが生じている子どもたちに対し、専門的な知識を用いてサポートします。
サポートの対象となる子どもは、脳性まひ、自閉症、学習障害などの診断がついていたり、診断はついていないけれども発達がゆっくりであったり、と様々であるため、作業療法士は発達障害に関する幅広い知識が求められます。
身体障害領域
運動機能の低下によって、日常生活や社会生活に支障が出ている方々のケアを行うのも作業療法士の仕事です。
骨折や脳卒中など、さまざまな理由で運動機能が低下した患者さんを対象に、基本となる動作の向上や社会生活への適応能力の向上をサポートします。 作業療法士としてのスキルに加えて、医学の知識も求められる機会が多いです。
精神障害領域
作業療法士は、気持ちの落ち込みや認知機能の低下などによって、健康的に日常・社会生活を送ることが難しい方を対象にしたサポートも行います。
運動や何かを作ることを促したり、生活を見直したりといった方法で患者さんをケアし、心に自信をつけていくことが仕事です。
老年期障害領域
加齢によって運動機能や認知機能が低下した方のサポート、および自立を手伝うのも作業療法士の仕事です。
ただ機能向上を目指すだけでなく、その人ならではの考え方や趣味を尊重し、人生における充実度を高めることを意識するのも作業療法士の役割となるでしょう。
まとめ
作業療法士は、他領域で働いていたとしても、発達障害をもつ子どもたちに出会う機会があります。そんなときどんなことをすればいいのか、自分にどんなことができるのかを知っておくことは、作業療法士として広く活躍する際の心構えになるでしょう。
発達障害のある子どもの支援方法を知り、子どもたちの可能性を引き出し、子どもたちの生き生きとした生活をサポートできる作業療法士を目指してください。